EVENT REPORTS

終り火2017レポート

イベントレポート

更新日:2017年11月18日

Nov.3thFri – 5thSUN 2017

CRAFT&PLAY in Late Autumn BONFIRE FOR THE END OF SEASON

今年の記憶を刻む
冬の気配を感じながら

Owaribi2017 REPORT

終り火2017レポート

終り火とは、あと数日で秋が終わり雪の気配がすぐそこに感じられる頃に、アウトドアシーズン最後の日として集まる会。特別な場所で非日常的なアウトドア料理や手軽に作れるクラフト体験、満天の星の下、静かに囲む焚き火でお酒と夜長を楽しむツアーだ。今年で3回目の開催となった。

フィールド提供:ファームイントント
クラフト指導:NATURE WORKS 長野 修平
料理コーディネート:東洋肉店 代表取締役 東澤 壮晃
彫刻家:山下亮太
キャンプコーディネート:リバートリップキャメル 代表 辻 亮多
撮影:seijikazui
企画・運営:DOHOKUEXPLORE

満月の夜を待つ

舞台はアウトドア最後の「未開の地」と言われる道北の更に奥地にある美深町仁宇布。1日目は晩秋の中、まるでアラスカの草原を思わせるような雰囲気のなかスタートしたが、深夜から未明まで降雪があり、純白の世界へと場面が変わる。終始ドラマッチクな表情で毎年のように終り火らしいイベントとなった。

(c)seijikazui-owaribi2017

羊達が放牧されている草原に、いつものように集合時間も決まっていないゆるいタイムスケジュールの中、参加者それぞれが自分のペースで集まった。ネイチャークラフト作家の長野修平氏の指導のもとクラフト体験もゆるくスタートした。

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今年はゲストに世界中のワイナリーに滞在し、ワインの樽に彫刻しながら作品を制作している彫刻家の山下亮太氏を招き、終り火のオリジナルデザインで雪板に彫刻を彫ってもらった。ゲスト達はクラフト体験にククサか、カッティングボードをメインに各々自由なスタイルでクラフトを楽しんでもらった。やがて日が暮れはじめると、焚き火の火力を一気に上げ、ディナータイムがゆっくりと始まる。1日目はガイドの辻亮多氏が作る創作アウトドアディナー。テントで食べる絶品の串カツがまたうれしい。

(c)seijikazui-owaribi2017
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夜も更け、いつの間にかテントで暖かな寝袋にくるまりながら目覚めると、そこは別世界の純白の雪景色が広がっていた。ティピテントは雪の重さに耐えきれず潰れるほどの降雪。冬が来る直前に行われる終り火ならではであるが、世界が冬に変わった瞬間の最前線でキャンプをする体験はとても貴重だ。

(c)seijikazui-owaribi2017
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世界が雪景色へと変わり、氷点下の朝を迎えるなか、ゲスト達は勿論のこと遊びココロを忘れるわけはなく、早速今年一番早い雪板滑走で朝の眠たい身体を目覚めさせた。朝ごはんは、定番の炒り玄米と手羽先のおかゆ。冷え切った身体にやさしく染み渡る。
2日目、ゲスト達は北海道限定ビールを片手にクラフト体験を黙々とこなすが、アウトドア特有である、時間の感覚が狂い一瞬のうちに日が暮れる現象は、この終り火に関しては加速度的に早くなることを体験もしたことだろう。山下氏の雪板彫刻が完成したころ、かまどの炎が夕焼けに飛び火したかのように燃える夕日と、それを背にクラフトを淡々と作る長野氏やゲストが、どこか神々しく見えた。

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ディナーは今年も地元の老舗、東洋肉店の東澤壮晃氏。ランタンの灯に照らされながら、テーブルの上に置かれた作りたてのカッティングボードに、地元産の新鮮な食材を始め無国籍な絶品ラム料理が次々と並び、食事と会話を楽しむ。そして、終り火名物「氷点下10℃バー」には、こだわりのスコッチウイスキーや豪州ワインが並び、いくら飲もうが酔が回らない不思議な体験も楽しんだ。

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熱気も冷めやらぬ中、気がつけば、遠くの山の稜線まではっきりと見えるくらいに、満月の明かりが外の闇を明るく照らしていた。いつのまにかメンバー達は、ヘッドライトの明かりを消すと、満月に照らされキラキラと輝いている雪原に導かれるように、ファイヤーサークルに集まりウイスキー片手に月見を楽しんでいた。

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翌朝、氷点下の雪原に粉雪が降る中、目を覚ましたゲスト達が見るからに昨日のお酒を引きずった顔でポツポツと集まり始めた。すでに用意されていた熱々の珈琲で身体を温めると、ベストのタイミングで出来上がってきた玄米がゆの朝食で硬くなった頬を和らげた。

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朝食が終わると、作り残していたクラフトに仕上げの焼印を刻んだ。やがて、イベントの終わり方も人それぞれに、一人、また一人とこの場を去っていく。最後の一人が名残惜しそうにフィールドを後にすると、今年も「終り火」の幕がひっそりと閉じられた。

(c)seijikazui-owaribi2017

静かに囲む焚き火で、秋の夜長を楽しむ。夏のシーズン最後の記憶を心温かく残せるようにと開かれた「終り火」は、冒険家たちにとっては、次への「始まり火」でもあるのだろう。

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