日が暮れ始めると、焚き火にたくさんの薪をくべ、一気に火力を上げる。そしてそれぞれの飲み物がお酒へと変わったころから少し長めのディナータイムが始まる。

今年の乾杯は、この夏に美深に新しく誕生した白樺樹液を使ったクラフトビールの醸造所より「ワイルド シープ チェイス(羊をめぐる冒険)」というビールが選択された。

ディナー用のテントの中に置かれたテーブルでは、今年も地元の老舗「東洋肉店」の東澤壮晃氏が監修するラム肉の希少部位を使った絶品ラム料理の数々が次々と並べられていた。

もちろん、野外には恒例の「氷点下10℃バー」もすでに開店しており、参加者が持ち寄ったビール、ウイスキー、ワイン、日本酒などが揃う。そしてそこにはすでに常連と呼ばれる客がグラスを片手に立ち話をしている。

夜は更け、お腹を満たしたゲスト達は、誰からともなく再び焚き火のまわりに。

横になりそのまま眠り出す人。満天の星に感激している人。さらにお酒を楽しむ人。スタッフも含めて全員が自由な時間を過ごす。

翌朝目が覚めると、テントの外は昨日と季節が変わっていた。
仁宇布に降った初雪によって辺りは一面銀世界だ。

氷点下5℃の凛とした空気の中、向かう先はもちろん焚き火だ。
すでにガイドによって用意されている珈琲をひとすすりして周りをみると、すでに昨日のクラフトの続きを始めているゲストが数人。

そしてしばらく経つとガイドの辻氏による恒例の朝飯が振舞われた。
「手羽先の玄米粥」。これを食べるために終り火に参加したというゲストも珍しくないほどの絶品料理である。

朝ごはんを食べ終わると参加者はまた焚き火のまわりに座ってクラフトを始めたり、テントでくつろいだり、それぞれが自由な時間を過ごす。イベントの終了時間は決められていない。

お昼になる頃までに、一人、また一人と好きなタイミングで帰路に立つ。始まりから終わりまでとことん自由が与えられているこのイベントは、最後の一人が会場を後にすると、ようやく幕を閉じた。

そして道北には、長い冬が訪れる。

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