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なごり雪2019レポート

イベントレポート

更新日:2020年2月3日

23thSAT-24thSUN 2019

Craft&Play for the end of season

冬の冒険家たちの
ラストシュプール

Nagoriyuki2019 REPORT

なごり雪2019レポート

日本一のパウダースノーと言われウィンタースポーツの聖地でもある日本最北の地域「道北」。冬のアウトドアマンたちがシーズン最後の雪山を雪板クラフト&プレイで楽しむツアー「なごり雪」が2019年3月開催された。

フィールド:ピヤシリ山/美深
クラフト指導:小栗 卓/戸谷★Gackt
ガイド:リバートリップキャメル 代表 辻 亮多
撮影:seijikazui
企画・運営:DOHOKUEXPLORE

雪板について

ここ数年で北海道では知らない人はいないくらいに人気と知名度が上がった「雪板」とは、ノービンディング、ノーエッジのボードで新雪やザラメを滑る冬のアクティビティで、ここ道北では自ら手作りしたもので滑走するという珍しい体験を行っている。

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今年で第4回となる「なごり雪」。クラフト&プレイをコンセプトに行われる雪板のイベントは、毎年晩秋に行われている「終り火」とともにBASISだけでなく、道北全体のアイコン的なイベントとなっている。3月の下旬だというのにまだまだ雪深い道北で、今年はどんなドラマが起きる二日間となるのだろうか。

まずイベントは、美深町で行われる一日目の「雪板クラフト」。春めいた日差しの午前11時頃、ボチボチと参加者が会場となるJR美深駅周辺に集まってきた。今年は、札幌から来た新規のゲスト数名の他は、ほとんどが顔の知ったリピーターがほとんどだ。駅に隣接するクラフト工房に移動するとその前には、ガイドの辻、戸谷、南の三人が早朝より準備した昼食用の会場のほかに、自分用なのか、ゲスト用なのかわからない雪板用のパークが作られていた。それを見たゲストは、クラフトが始まる前からすでに滑りたそうな顔をしている。

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工房では、二班に分かれてクラフトが始まった。まず、各々ベースデッキを選び、棒ヤスリで形を整えていく。その後、電動サンダーで板の表面、滑走面、横面を丁寧に磨き、ニスを数回塗り重ねたところで午前中の作業は終了となる。リピーターが多いせいか、ゲスト達は皆スムーズに作業に取り掛かっている。この調子だと例年よりもあきらかに完成度の高い板が数枚出来上がりそうだ。

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正午を過ぎたところで、作業を一旦休止して屋外に用意された会場での昼食の時間。この日のメニューはガイドの辻氏が考えた自分で好きな具材をトッピングできるホットサンド。ハンバーグや卵などのトッピングを乗せた食パンをアルミホイルで包み、BASISの焼き印を押すだけの簡単なのに楽しく美味しい料理であった。

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食べたあとは、先ほどの雪板パークを使って一滑り。いや、どうやらみんな二滑り以上はしているようだ。この頃にはゲスト達の緊張もほぐれ、会話も弾みいつものなごり雪の雰囲気になってきた。

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昼食後の午後、いよいよ雪板も仕上げの段階に入る。ニスを何度も塗り重ねた板には、各々がデザインしたデッキパットが貼られ、流れ防止のリューシュコードをつけると雪板の完成だ。今年は初めて登場したBASIS焼印がとても人気で、参加者のほとんどが板に焼印が押されていた。

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日が暮れる頃には、全参加者8名の雪板がすべて完成し、少しだけ試し滑りをした後、全員で記念撮影をして一日目のクラフトが無事に終了となった。この後は、一旦解散となったが、地元の参加者以外はそのまま明日の会場である名寄市のピヤシリスキー場へと移動した。

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この日の夜は、希望者(というかほぼ全員)で交流会が行われた。昨年同様に、交流会はスキー場をリフトで登った先にある山小屋を貸し切って行われ、帰りは、灯の消えたスキー場をお迎えのキャット(雪上車)に乗ってクルージング。名寄市の夜景を一望し、明日のパウダー祈願(あれ、ザラメ雪を楽しむイベントでは?)をして宿に戻った。

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昨日のお酒がまだ抜け切れていないであろう翌朝、眠い目を擦りながらピヤシリ山の麓に向かうと、そこにはキャットがすでにゲストを待ち構えていた。10人乗りのキャットの後方キャビンに雪板と共に乗り込むと、大きなエンジン音を出しながらいよいよ山の中腹の山小屋に向けて走り出した。

翌朝8時半、ピヤシリ山の麓に向かうとそこにはすでになごり雪ゲスト専用の大型のキャット(雪上車)がエンジン音を響かせながら停車していた。キャット(雪上車)の後部に取り付けられた10人用のキャビンに自作の雪板とともに乗り込むと、いよいよピヤシリ山の中腹に向けてキャットが走りだした。

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30分ほどキャットに揺られ山小屋に到着すると、そこには厳冬期さながらの極厚パウダースノーフィールドが広がっていた。なんてけしからん、春のザラメを滑りに来たのに、実にけしからんと言ったガイド達の顔はもちろん、してやったりのにやけ顔であった。この時期になぜ、こんな雪が降るのだろうか。やはり道北のポテンシャルは計り知れないものがある。

ベース基地となるテントに荷物を置いたら、はやる気持ちを抑えながらゆっくりと慎重に山を登り出した。眼下に絶景が広がるポイントまで登ると、恒例のファーストトラックを争うジャンケンが行われ、最初のシュプールと共にいよいよ雪板プレイの開始が宣言された。

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1本滑り終えると、後は堰を切ったかのように次々とゲスト達が滑り出した。登っては滑り、登っては滑り。子供の頃の雪遊びの感覚を思い出すように、時間を忘れて夢中に雪板を楽しんだ。ここには、無限のフィールドが広がっている。10数名でどんなに滑っても、新雪を滑りつくすことはない。3月のこの時期にこの体験ができる喜びは、まさに道北ならではであり、雪質日本一の名に恥じぬフィールドであることは間違いないと確信した。

身体もほどよく疲れてきたころに、スタッフから昼食の知らせが伝えられた。ベース基地に戻ると、テントの中から食欲をそそる香りがすでにあふれ出ている。直径80cmはあるであろう大きなパエリア鍋の上で作られていたのは、牛肉とチーズがたっぷり使われたボロネーゼパスタだ。冷えた身体に手作りの温かい料理が染み渡る。

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昼食を終えてテントの外に出ると、降り続ける雪は、一段と激しさを増していた。何度も思う、これは春ではない、冬でもない、真冬だ。ゲスト達は、残された時間を気にしながらも今季最後になるであろうパウダースノーを夢中で楽しんだ。

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気が付くと時刻は2時を過ぎいよいよ雪板プレイの終了の時間を迎え、スタッフもゲストも各々帰り支度を始めた。まだまだ滑りたいであろうゲスト達の念願が叶って今年はキャットではなく雪板で滑りながらの下山だ。あと一本、あと一本だけ、そんな子供みたいな言葉を良く聞いたのが今年のなごり雪では印象的だった。

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なごり雪が終わると、道北にもゆっくりと春が訪れる。道北のアウトドアシーンは、グリーンシーズンへと変わり、短い夏を経て、また長い冬が訪れる。名一杯なごり惜しんだパウダーシーズンが再び訪れるのは、そう遠い話ではない。

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