なごり雪2018レポート
イベントレポート
更新日:2019年1月28日
Mar.24thSAT- 25thSUN 2018
Craft&Play for the end of season
冬の冒険家たちの
ラストシュプール
Nagoriyuki2018 REPORT
なごり雪2018レポート
日本一のパウダースノーと言われウィンタースポーツの聖地でもある日本最北の地域「道北」。冬のアウトドアマンたちがシーズン最後の雪山を雪板クラフト&プレイで楽しむツアー「なごり雪」が2018年3月開催された。
フィールド:ピヤシリ山/美深
クラフト指導:小栗 卓/戸谷★Gackt
ガイド:リバートリップキャメル 代表 辻 亮多
撮影:seijikazui
企画・運営:DOHOKUEXPLORE
雪板について
ここ数年、道北地域で爆発的に人気が高まっている「雪板」とは、ノービンディング、ノーエッジのボードで雪山を滑る新しい冬のアクティビティで、道北では今シーズンから「クラフト&プレイ」のコンセプトのもと自ら手作りした雪板での滑走体験を行っている。
今年で3回目となる「なごり雪」。もはや道北の冬のアクティビティの定番となりつつあるフリーフットボード「雪板」を自らの手で作り、翌日にその板を担いでピヤシリ山のノートラックを滑走するまさにクラフト&プレイ(作って遊ぶ)を体現したイベントである。道北の冬の終りに今回はどんなドラマが待っているのだろうか。
イベントは、1日目美深での雪板クラフト、2日目名寄での雪板プレイと計2日間に渡って開催された。
溶けかけた雪とアスファルトの香りが春を感じさせる晩冬の午前、近隣市町村や遠くは小樽などからの参加したゲストが各々JR美深駅に到着。隣接する工房に場所を移すと、クラフト組と試し滑走組の二斑に別れてイベントがスタートした。まず予め用意された十数枚のベースデッキから好きな板を選び、好みのアウトラインを鉛筆で下書きしていく。
その後下書きされたアウトラインをジグソーで切り出した後、板の表面、裏目、横面を丁寧にヤスリをかけ、さらに片面にニスを塗った所で午前の作業は終了。自分の板を自ら作っているという非現実的な現状に、ゲストは真剣な表情をしながらも、なんとも言えない満足感を得ているようだ。正午過ぎ、クラフト工房の外で赤レンガ倉庫を背景にして食べるこの日の昼食は、ガイド特製のたらこパスタや羊のレバーパテ、アスパラのピクルスなど。慣れないクラフトで疲れたゲストの表情もこの時は緩み、他のゲストやスタッフとの会話も徐々に弾んできた。
昼食後の午後、雪板は早くも仕上げの作業に入った。ニスを数回塗り重ねた後、出来上がった板に滑り止め用のデッキテープを自由なデザインで貼り、最後に流れ止め用のリューシュコードをつければ完成。今年のゲストはリピーターやスノーボードの熟練者も多くいたせいか、全体的にまとまりが良く、何よりクラフトが上手い。お互いに助け合いながらもそれぞれの作品に刺激を受けてクオリティの高い板が次々と出来上がっていた。
また、雪板制作は二グループに分かれて、クラフトを行っていないグループは近くのスキー場で乗り方の指導を受けたり、色々な板を試乗したりできるのだが、実はこれもすでに相当に楽しい。春先ならではの雪板の遊び方として、バンクやジャンプ台を作って遊んだり、スピードスターになったつもりで直滑降なんて遊びも自由自在。初心者がまず雪板の楽しみ方を覚えるのには、この試乗会は欠かせない経験であると思う。
夕暮れ時には1日目の雪板クラフトがすべて終了し、ゲスト全員でクラフト工房すぐ裏に走る宗谷本線のレールをバックに記念撮影。これはなんともシュールな光景だ。そして自ら作った板を持って、明日への期待とともにそれぞれが一旦帰路についた。
1日目の夜、希望者だけではあるが、参加者交流会も行われた。今年の交流会は、リフトで山小屋まで上がり、そこでバーベキュー。帰りは、お迎えのキャット(雪上車)に乗って灯の消えたスキー場をクルージングしながら名寄の夜景を眺めるといったとても贅沢な仕掛けが用意されていた。そしてゲストの中には、明日入籍を控えたカップルもおり、スタッフも含めてみんなでプチ結婚祝いのようなことも、、果たして喜んでくれただろうか。
翌朝8時半、ピヤシリ山の麓に向かうとそこにはすでになごり雪ゲスト専用の大型のキャット(雪上車)がエンジン音を響かせながら停車していた。キャット(雪上車)の後部に取り付けられた10人用のキャビンに自作の雪板とともに乗り込むと、いよいよピヤシリ山の中腹に向けてキャットが走りだした。
キャットが、30分ほどかけて山の中腹に到着すると、そこはザラメ雪とパウダーが混在する奇跡のフィールドが。はやる気持ちを抑えつつベースキャンプ地となる場所まで移動し、まずはガイドの簡単なレクチャーを終えると、いよいよ雪板滑走がスタート。
眼下に広がる道北の絶景パノラマを眺め、自ら作ったボードで滑り降りる体験。ここは、本当に日本なのだろうか。そんな思いを抱きながら、ゲストやスタッフ達は、山を登っては滑るを繰り返しながら「なごり雪」の本質である道北の冬を惜しみに惜しんだ。
疲れも忘れて夢中で楽しんでいるゲストに、スタッフからお昼ご飯の知らせが届いた。
この日は天気も良く青空が広がっていたので、雪を掘ってテーブルとイスを作り、様々なデコレーションをした会場での晴れやかなランチとなった。
昼食は、ガイド特製の豚汁に焼きおにぎりなど。こんな日は、洒落た料理よりもかえってシンプルな温かい料理が一番体にしみる。そして明日夫婦になる予定のカップルには、サプライズでケーキをプレゼント。お約束のウエディングケーキ入刀、、みたいなことも。
昼食後、午後の斜面で最後の一滑りを楽しむと、すでに時刻は午後2時。山小屋の近くには、すでに迎えのキャット(雪上車)が到着しており、終了の時間が近づいていることを知らせる。ゲストとスタッフ全員で記念撮影すると、ゲスト達は道北なごり雪に最後の別れを告げ、下山するためのキャット(雪上車)に乗り込み、2日間にわたる「なごり雪2018」もようやく幕を閉じた。
なごり雪が終わると、道北にもようやく遅い春が訪れる。休む間もなくグリーシーズンへと舞台が移され、そこでまたアウトドアラバーズの旅が繰り返される。また、来年はどんな冒険話を持ってここに集まるのだろうか。
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