INTERVIEW OF GUIDE

自然に囲まれ地に足をつけて暮らし、
さらなる魅力を開拓し続ける。
道北のアウトドアシーンを牽引する
フィールドガイドから見えること。

Tsuji Ryota

THE CHIEF DIRECTOR OF LAKE SYUMARINAI WORLD CENTER

NPO法人シュマリナイ湖ワールドセンター

代表 中野 信之

大阪生まれ。朱鞠内湖淡水漁業協同組合職員。幻の魚、イトウにあこがれを抱きつつ、19歳の時に北海道を旅した末に朱鞠内湖にたどり着き、湖の管理の仕事をするように。2008年よりシュマリナイ湖ワールドセンターを立ち上げ、現職。現在は、朱鞠内湖の湖や漁業管理のほかに、フィッシングガイドや釣り人向けの宿「レークハウスしゅまりない」も運営。ワカサギの佃煮「サクッと!ワカサギ」の商品開発を手掛けるなど、朱鞠内湖を中心に挑戦を続けている。

手つかずの自然に入り
誰もいない中でイトウに挑む。

「こんな、オヤジばっかり集まってるのに社交辞令がない遊びなんて、なかなかないですよ。大きいのが釣れた人は目をキラキラさせて最大限に自慢しますし、それを聞いているほうは子どもみたいに驚いて、悔しがるんです」、とシュマリナイ湖ワールドセンターの中野信之さんは笑った。 

 
 朱鞠内湖のイトウ釣りは、釣り人たちの憧れだ。大阪生まれの中野さんは、イトウにあこがれてこの地にたどり着き、20年ほど前から朱鞠内湖に生息する魚を管理している。朱鞠内湖は70年以上前に作られた人工湖。しかし、長い年月を経たそのたたずまいは周りの自然と溶け込み、「朱鞠内湖」という生態系を生み出している。かつては密漁などにより減っていたイトウも、近年ではキャッチ&リリース、シングルフックバーブレス使用の規則化により、乱獲を防ぎ、徐々に個体数を増やしてきている。

 
 「天然の大きなイトウを釣った瞬間には、その美しさと喜びに手が震えるんですよ。それを一人でも多くの人に体験してもらいたいんです。他よりも制約が多い釣り場かもしれませんが、イトウが1mを超すまでには15年以上の月日が必要です。こんな風に稀少な魚が大きく釣れる場所というのは本当に少なくて、釣り人の夢なんですよ。ぼくは釣り人の夢を守るためにここを管理しているんです。」 

 朱鞠内湖の魅力は、そんな釣り体験を、ほぼ手つかずの大きな自然に入ってできること。広い空と、雄大な森に囲まれた、最大級の大きさを誇る湖。日本中のさまざまな釣り場を回ったという中野さんは、自然の中で釣りをするのであれば、朱鞠内湖にかなうところはないと話す。複雑な地形でたくさんの島や半島を持つ日本最大級の湖は、釣りのポイントも無数。

 
 近くに誰もいないプライベート空間で、雑音のない自然に囲まれ、目の前に広がる湖とその下で蠢く魚のことだけに集中できる1日はこれ以上ない贅沢だ。聞くところによると、ここに20年も住む中野さんでも、まだまだ開拓の余地があるという。それだけ豊かな場所なのだ。 

 道外からのリピーターは、この最高に魅力的でかつ不便な場所を訪れるために、1年間、金と時間をためてくる。「それでも釣れないときも、もちろんありますよ。でも正直なところ、釣れても釣れなくても楽しいんです。夕焼けが沈む瞬間、目の前の大きな空が黄金色になり、ピンク、ブルーとドラマチックに、刻々と色を変え、魚がぐっと活性している雰囲気を感じ取る。この美しい瞬間にここに立っているというだけで、十分なんです。」
 北海道という土地で、幻のイトウに挑む。それだけで、旅の目的のほとんどは達成しているのだろう。

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